あとがき:わたしの秘伝のタレ
これが、わたしのautobiographyです。
最後までたどり着いた猛者のみなさま、ありがとうございました。
改めてお伝えしたいのが、バイオグラフィーを制作する時に、
ここまで赤裸々に世界に放つ必要はないということです(笑)
はじめに
「わたしがバイオグラフィー制作を頼むに値するか」
「自分の人生を打ち明けるに相応しい相手か」
見極めていただくためのオートバイオだとお伝えしました。
実は同時に、「深さと強度に耐えられる方」をわたしが見極めるためのものでもありました。
バイオグラフィーの真髄は、
読んで「こういう人生があるんだ」と感じること、
それが、誰かの”あるけれど見えなかった”選択肢を
見つけるきっかけになることだと思っています。
十代の頃には、「わたしは感情をストリッパーのように脱ぐのだ」と思っていました。
家族仲は悪くはありませんが、なんでもあけすけに詳らかにしようとするわたしのあり方は、あまり受け入れられないようでした。
それも仕方ないのかなと思います。
……だからといってそれを止める必要もないなと、ようやく割り切りました。
たとえ家系はそうであっても、わたしはオープンにしたいのだから。
四十代になった今、全て脱ぎ切るには恥ずかしいものも増えてしまいましたが、
ポールダンサーや旅一座の踊り子のように、
踊りながら魅せることはできるようになったかなと思います。
十代の頃に心にかけた鍵。
かけたことすら、実は最近まで忘れていました(笑)
二度と開けることがないと思っていたので”捨てて”しまったように記憶しています。
なのでこの”金庫破り”をしたのも、つい最近。
「もう良いよ、大丈夫だよ」と自分に語りかけながら胸に手を当てた瞬間、涙がこぼれました。
鍵がなく強引にこじ開けたので、後始末はまだ終わっていません。
思い出しては語りかけ、あの日の自分を抱きしめています。
心は今も赤黒く色素が沈着したままです。
新しく傷をつけなければ、それで良いかなと思っています。
先に書いた通り、見極め合うためのバイオグラフィーですので、理解はあまり求めていません。
「頼める」「頼まない」「今じゃない」それをジャッジしていただければ十分です。
まったく同じ人生を歩んでいるならまだしも、違う個体として生きているわたしたちです。
相手を完全に理解できることはない。できると思っているならば、それはとんでもない思い上がり。
わたしは、「この人のすべてを理解することはできない」という前提をもってお話を伺います。
もちろん、理解するために全感覚・全神経をフル稼働します。
それでもすべてを理解することはできないのです。
本編には書いていませんが、わたしは会社員時代、会社で抗いがたい眠気に襲われて船を漕ぐことが多くありました。
しっかり寝たぞ、良く寝たぞと思う日でも、ふと気付くと机が目の前にあるなんてこともザラでした。
それが会社を辞めてから、ほとんどなくなりました。
会社勤めが、根本から合っていなかったんだと思います。
この眠気を抱えながらお給料をもらっていることに罪悪感はあり、
もし「昇進できなかったのは居眠りが原因」だと言われていたら、
それはそれで納得したと思います。言われてませんけど!
そして、開業してからここに至るまでに十年かかったことも、こうして振り返ると腑に落ちるのです。
三十代の自分は、バイオグラファーを名乗るには色々と足りなかった。
今は、自信を持ってこれがライフワークだと言えます。
わたしは正解は差し出しません。差し出せません。
答えはあなたの中にしかないから。
選択は正誤ではなく、選択を正解にしていく。
318inkでは正解は差し出しませんが「今これが正解なのだ」と確信するためのお手伝いはできます。
確信?観念?どちらでもあるし、どちらでもないかもしれません。
わたしは”書く”人間です。
フィクションでも、ノンフィクションでも。
世界とそこに生きる存在の“命”を言葉にする時、最高に生き生きとします。
言葉の刃も、手持ちが増えました。
切れ味も増し、研ぎも上手くなって、斧をフルスイングすることも、鋭いニードルをピンポイントで突き刺すこともします。
318inkは自分の人生を背負う覚悟がある方の物語しか紡ぎません。
あなたの人生はあなたのもの。ケツ持ちはあなたがするべきこと。
わたしはあなたのこれまでの足跡を、人に届く形に整えることができます。
今のあなたに至るまでの道筋が、経験の蓄積を、物語にすることができます。
盛らない、偽らない。演出しない。けれど届くように、収束するように。
自らの羽を抜いて機を織る鶴のように、全身全霊でつくりあげていきます。
音楽は作っても適量が見つけられず。
デザインをしても正解と言い切れない。
けれど言葉なら。
言葉なら、時間がかかっても、ちゃんと自分のベストを導き出せる。
「これがわたしの秘伝のタレ、うちの味」だと言い切れる。
あなたの好みの味であれば、文句なし。
318inkのバイオグラフィーは、共同作業でありながら真剣勝負。
それをこのオートバイオで、感じていただけたなら嬉しいです。
